前に進まない空き家の相談事例  認知症・原野商法・高く売れる

「太宰府市空家予防推進協議会」を立ち上げて3年目。

約100件ほど、ご相談者の悩みに寄り添ってきた。その中で、ご相談の解決に至るには時間がかかり、現状では、どうにもできないことが分かってきたので、ご紹介します。(これから誰しもが直面する問題でもあります)

 

所有者の方が、認知症

ご相談者の方が所有者で認知症の場合、話される内容が昨日と今日とでは違うということが起きてしまい、ご家族の方も迷われて、物事がなかなか前に進まないことがある。

家を売却し、施設の入居・介護費用に充てたいのだけれど、そこで上手くいかない。

遠方の家族が認知症を心配して引き取り、一緒に住むことになっても、実家が空き家になって数年経つと、もう帰ることはないし、もし家が崩れて近隣の方に迷惑が掛かってからでは遅いからと、早く手放そうと思う。

しかし、所有者の方が「帰りたい」と言われたり、「親から引き継いだ家だから残さなきゃ」なんて思いを抱えていることがわかると、そこから前に進むことができなくなって、そのまま何年も放置してしまって、家はどんどん傷んでしまう。

おそらく「原野商法」で買わされてしまった土地

無価値に等しい土地を、将来値上がりするなどと、もっともらしいことを言って売りつける手口がある。

昔、そんな土地を買って(原野商法だと認識はしている)手放したいのだが、どうにかできないかというご相談を頂き、謄本を調べ、現地を見て愕然とした。

そこは山の中。

細かく区画されてしまっているので、その一部だけをどうこうするのは、ほぼ無理。

これから所有者が高齢化していくため、子ども世代に所有が変わった時に、親が残した訳のわからん土地について知ることとなり、負の遺産だと気づく。

最近、そんな相続したものの訳のわからん土地を所有している人に向け「費用をお支払い頂ければ調査しますので、ご連絡ください」などと謳い、新たに騙そうとする2次被害も起きているというから、要注意!

買った土地は年月を経ても、まだ高く売れると思っている方

昔買った土地・建物の当時の価格に対して、現在の相場や諸条件により、かなり価格が下がっている場合、そんな安くしか売れないなら売らない!と思うのは分かる。多分、自分もそうだとは思う。

買い手が、その土地を見た時にどう思うかなんて、当事者は、なかなか気づかないものなのだ。

ここ最近の異常気象による災害、ハザードマップ等を考慮すると、その金額ではとても買い手はつきません。

その土地に価値があるかどうかを決めるのは売る側ではなく買う側なのだから。

この問題の解決には10年、20年かかるかもしれないし、もしかしたらもっとかかるかもしれません。

だからこそ僕たちは、ずっと寄り添って、お節介し続けていこうと思うのです。

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